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森へ 〜私が狼になった日〜 

走って
走って
狼に追いつかれないように

走って
走って
森の奥へ奥へと

走って
走って
走って!

「森の奥へは決して行っちゃいけないよ
 おまえのような若い娘は狼の大好物だからね
 行ったら食べられてしまうよ」
「それならどうしておばあさんは
 こんな森の中にひとりで住んでいるの」
「狼は年寄りなんか食べないのさ
 だから私は平気なのさ」

森には怖い狼がいるから
行ってはいけないとおばあさんは言う
狼なんて私知らない
狼って何?
ううん 本当は知ってる
これは私だけの秘密よ

みんなが寝静まった真夜中
お母さんとお父さんは狼になる
荒い息遣いと獣のような唸り声
誰も知らない私だけの秘密

大人になったら夜はみんな狼になるのかしら
私は狼になんかなりたくないわ
だから大人になんてならなくてもいい
私はいつまでも少女のままでかまわないもの

そんなときお母さんにおつかいを頼まれたの
森に住んでるおばあさんの家まで荷物を届けに行くのよ
お母さんは言う
「寄り道をしてはいけませんよ
 知らない人に話しかけられてもついて行っちゃダメよ」

そんなのとっくにわかっているわ
私はもう子供じゃないんだから
ただお花があんまりきれいだったから
おばあさんに摘んで行ってあげようと思っただけ

私がお花を摘んでいると
ハンサムな狩人さんに声をかけられたの
彼のお話はとても楽しくて
私も彼について行きたかったけれど
おばあさんの家に行かなきゃね

名残惜しいけど
彼と別れておばあさんの家へ急いだの
そしたらおばあさんはいなくて
なぜかハンサムな狩人さんがそこにいたの

「おばあさんはどこへ行ったの」
「おばあさんなんて最初からいなかったんだよ」
「それならなぜあなたはここにいるの」
「僕は君をずっと待っていたんだよ」

彼はそう言うと私を抱き寄せて
やさしくキスをしてくれたの
ハンサムな彼にみつめられると
私はもうとろけてしまいそう
それから私たちは狼みたいに愛し合ったの

「これは罠なのかしら」
「いいや 違うよ
 僕らはみな狼の血族なのさ
 愛し合うときにだけ本当の姿に戻れるんだよ」

森の奥へ狼が駆けて行く
私たちはどこへ行くのかしら
それはきっと誰にもわからないことなのね

走って
走って
狼に追いつかれないように

走って
走って
森の奥へどこまでも

走って
走って
走って!
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